「全力!脱力タイムズ」は売れっ子に厳しく、一発屋に優しい番組だ。
フジテレビで毎週金曜放送される「全力!脱力タイムズ」
観ていない人に一言で説明するのなら「報道の皮を被ったどバラエティ」と伝える。
パッと見は加藤浩次や設楽統を連想させるような真面目な姿のアリタ哲平(この番組ではカタカナ表記)に他のワイドショーにも出演されている評論家が席を連ねている。
どう見ても報道番組。だがしかし、フタを開けたらコメンテーターとして呼ばれた芸人を追い込むような展開になっているゴリゴリのバラエティだ。
事前の打ち合わせ通りにいかない番組で、芸人の腕が試される恐ろしい番組でもある。
初出演したロンブー田村亮は「観る番組であって、出る番組じゃない」とその胸中を漏らした。
そんな、芸人にとって「出たくない」と言っていいような番組だが、ある層には大変有り難い番組でもある。それが「一発屋芸人」だ。
いろんなパターンがあるが、大体は隣にいる俳優・女優が「実は好きなんです。ネタやって下さい」から「相方呼びました」と言って本来相方じゃない一発屋芸人を呼んで無理やりネタをさせるという流れ。
それだけ観ると「久しぶりにこの一発屋見たな」ぐらいに思うが、私はある芸人のエピソードを思い出すのだ。
テレビ朝日で放送されていた「ブラマヨとゆかいな仲間たち アツアツっ」というトーク番組でX-GUNがゲスト出演した際に語ったのはボキャブラ天国が終わり、露出が無くなった時の恩の話だ。
かつての戦友・爆笑問題の大田光が自身のラジオ番組で「X-GUNをちょと使ってくれない?」と言い、仕事を与えてくれた。
そしてX-GUNがレギュラーを外れることが決まった際、大田は2人に対し謝罪した。「使ってもらうだけでもありがたいのに・・・」と西尾は大田に感謝していた。
そして番組の最後、「本当にあの時の仲間に今でも助けられてる。でもネプチューンだけはなんにもしてくれなかった!!!」と叫んだ。
言わずもがな、メインキャスターのアリタ哲平はボキャブラ芸人。このエピソードを聞くとアリタキャスターが少しでも一発屋芸人に仕事を与えてメディア露出して欲しいと願っているようにも見える。
そして今回、コメンテーターとして出演したのがX-GUNのさがねである。
観てない方にネタバレになるので詳細は控えるが、さがねとアリタキャスターの両者を観ると、かつての戦友に対する有田哲平の思いやりが見えるような気がしてならない。
勿論、私の勝手な思い込みかもしれないが。