「AI育成お笑いバトル 師匠×弟子」はバラエティ寄りのドキュメントだった
NHK BSプレミアムで放送された番組「AI育成お笑いバトル 師匠×弟子」
「機械に笑いなど分かるのか?」と思いがちだが、AIは「人工知能」というだけあって学習能力がある。「笑い」という人間味をどれだけ出せるのかを試す番組だが、視聴した結果、恐怖すら感じてしまった。
出演者の千原ジュニア・大久保佳代子・中岡創一・みちょぱの4人にそれぞれスマホを支給。その中に大喜利AIが搭載されている。
「このAIはプレーンな状態です。ここから師匠の色に染めて頂きたい」とプログラマーが言う。
AIのお題に回答していくことで学習していくらしい。育てる期間は2ヶ月半。それで各々の色が出るのか?と疑問に思ったが、見事に色が出ていた。
対決方法はお題を入力してAIが考えた回答5つから選ぶ(複数発表も可)方式だ。AIの弟子が考え、人間の師匠が選択するという二人三脚の大喜利バトルになっている。
それぞれの回答には特徴が出ていた。
みちょぱの弟子「みちよさん。」はギャル全開のワードに偏りが出ていた。ある意味、視聴者の想像通りの成長ぶりだった。
中岡の弟子「中岡亭おもしろ之助」は名付けのセンスにも出ている通り、結果が乏しくない。と思いきや、いきなりホームランを打つなど芸人らしさもAIに出ていた。
大久保の弟子「大久保パコ代」は下ネタを言わせたかったのだが「ちょうどいい下ネタ」が出せなかった。2018年現在のAIの実力が「あくまで人工知能、あくまで機械」という結果が見える、実に興味深い形に仕上がっていた。
そして一番すごかったのが千原ジュニアの弟子「千原エンジニア」。プロの売れっ子お笑い芸人が考えているのかと錯覚するぐらい笑える、そして唸る回答をバンバン出した。
ジュニアの大喜利愛が溢れている。その結果、弟子のエンジニアもそれに応えるかの如く良質なボケを量産した。
師匠のジュニアは「こいつIPPONグランプリに持ってこうかな?」と言っていた。
そこには、3人とは違う「機械が人間を超える恐怖」を覗かせていた。
もしかすると近い将来、仕事だけでなく「娯楽」すら人工知能に奪われるかも知れない。
そんな「AI育成お笑いバトル 師匠×弟子」。この番組はバラエティを超えたドキュメンタリーかもしれない。