脱じゃない方芸人「ドランクドラゴン 鈴木拓」
「じゃない方芸人」
コンビ・またはトリオ芸人で目立たない存在の芸人を示す言葉で「アメトーーク」がこの言葉を世に広めた。
定期的に行うこの「くくり」。最近では博多大吉が「じゃない方」を脱却し、現じゃない方にアドバイスを与える「先生」のポジションになっている。
そんな「じゃない方」を脱した芸人がもう1人。
はねるのトびらでブレイクした時のドランクドラゴンは完全に塚地がドランクドラゴンを引っ張っていた。それに対し鈴木は「なんとなくいる天然の人」という位置付けだった。
コンビとしての役割はツッコミなのだがバラエティに出る時は完全にボケ。役割を為してない「ポンコツキャラ」だ。
だが決してスベっているわけではない。
ポンコツ具合がバラエティにマッチしているのか大爆笑を生み出すこともあり、ある意味「名脇役」といってもいいぐらい活躍することもある。
「バナナ炎」に出演した際にバナナマンから「鈴木がスベった所を見たことがない」と賞賛を送られ、また自分自身も「俺、たまにホームラン打つよ」と発言した事もある。
しかし、そのポンコツぶりは最近消え新たなキャラが出ている。
「クズキャラ」である。
キッカケは2010年に出演したフジテレビの番組「逃走中」。
番組内の言動から見事にツイッターが炎上。そこから今の「クズキャラ」という新たな顔を出すことになった。
ドランクドラゴンは昔、給料を折半していた。塚地が働いた分も鈴木が貰い、完全にヒモ状態で暫く活動していた。
鈴木の奥さんも「塚地さんに生かされてる」と言っていたらしい。
その制度が無くなった辺りからクズキャラが生まれた。これは鈴木拓が一家の主としての「責任」がそうさせたのかもしれない。ただの偶然かも知れないが。
前に「脱じゃない方芸人」としてRGの記事を書いたが、RGと鈴木の決定的に違うところが「努力の跡が見えない」所だと私は思っている。
今も昔も飄々としている出で立ちが原因なのか、努力しているように見えないのだ。
よく師匠クラスの芸人が漫才師に「練習したなと思われるようじゃアカン」とアドバイスする事があるが、鈴木の場合狙わずとも「頑張り」が隠れている。
恐らく、まだポンコツの部分が残っているために努力が目立たないのだろう。
もちろん本当に努力をしていないわけではない。
アンガールズの田中の証言によると、日本テレビで放送していた『潜在異色』に出演してから芸人観が変わったらしく、事務所ライブでピンネタを作るなど、お笑いに積極的になってきているらしい。
その努力を裏付ける、かどうかは分からないが昨日放送のアメトーーク「相方向上心ない芸人」にドランクドラゴンの姿は無かった。
数年前ならリーダーとして呼ばれてもいいぐらいだが、その括りに入らないぐらい「鈴木拓」という男は芸人として向上したのだ。
「本屋で見つけた本に『芸能人は簡単になれる』と書いてたから芸人になった。」
お笑いに対する魂が全く無い状態で芸能界入りして食えているのだから彼にはスター性があるのだろう。だが、側から見てると全くそうは見えない。
それこそが鈴木拓の魅力のひとつなのかもしれない。